シンガポール出産ガイド|病院の選び方・費用の目安・出生後の手続き【日本人家族向け】

シンガポール出産ガイド(シンガポール駐在ライフ)

病院選び、費用、生まれたあとの手続きと期限。シンガポールで出産する日本人家族向けに、公式情報をもとに整理しました。

病院名はいずれも例です。

この記事はこんな方に

  • 💼働く側(駐在員ご本人)にとって費用の目安と、出生後に必要な会社・役所への届出を把握できる
  • 🏡帯同する側(ご家族・パートナー)にとって病院の選び方から産後の手続きまで、出産までの見通しが立つ

ざっくり言うと

  • 🏥病院選びは費用・相性・言葉の3つで
  • 📝生まれたら42日以内にLifeSGで出生登録
  • 💴日本の健康保険があれば出産育児一時金を申請できる
目次

病院を選ぶときの3つの基準

生まれたばかりの赤ちゃんの足(イメージ)
生まれたばかりの赤ちゃんの足(イメージ)

出産は、公立病院か私立病院で行うのが一般的です。

公立病院は次の病院などです。

  • KK Women’s and Children’s Hospital〈KKH〉
  • National University Hospital〈NUH〔国立大学病院〕〉
  • Singapore General Hospital〈SGH〔シンガポール総合病院〕〉

私立病院は次の病院などです。

  • Thomson Medical
  • Mount Elizabeth
  • Gleneagles
  • Mount Alvernia
  • Raffles Hospital

1. 費用:補助の対象かどうかで大きく変わる

MOH(保健省)の案内では、公立病院の急性期入院の補助の対象はシンガポール国民とPR(永住者)です。補助が付くのはB2・Cなどの病棟です(MOH 公立病院の入院補助)。

国民・PR以外の外国人への医療補助は2007年10月からなくなっています。

出典: MOH発表

2. 医師と病院:妊婦健診から同じ医師に診てもらうか

医師によって出産に対応する病院が決まっていることがあり、医師選びがそのまま病院選びになる場合があります。健診を始める前に対応病院を確認し、夜間に陣痛が来たときの移動手段や上の子の預け先も考えておきましょう。

住むエリアとの関係は住むエリアガイドも参考にしてください。

3. 言葉:日本語の対応は病院ごとに確認

出産の現場では、痛みの伝え方や同意書など細かいやり取りが増えます。

IHH Healthcare Singapore(GleneaglesやMount Elizabethが属するグループ)の国際患者向け窓口では多言語の翻訳・通訳サービスが案内されています(Gleneagles 国際患者窓口)。

日本語サポートが必要なら、健診前に病院へ直接確認してください。探し方は日本語が通じるクリニック・歯科・小児科ガイドにまとめています。

公立と私立の違い 早見表

項目 公立病院(例:KKH、NUH、SGH) 私立病院(例:Thomson Medical、Mount Elizabeth、Gleneagles、Mount Alvernia、Raffles Hospital)
政府の補助 対象は国民・PR。駐在家族(EP・DPなど)は対象外 補助はなし
帝王切開(合併症なし)の典型的な請求額(MOH、国民の場合) 補助なしの病棟:Ward A S$9,839/Ward B1 S$8,490 入院 S$15,805
経腟分娩の典型的な請求額(MOH、国民の場合) 補助なしの病棟:Ward A S$6,024/Ward B1 S$4,463 入院 S$10,815
料金の決まり方 病棟の種類、入院日数、処置で変わる 出産パッケージを掲載している病院もある。医師料が含まれるかは要確認
日本語対応 病院に確認 病院に確認(多言語の通訳サービスを案内する病院もある)
確認したいこと 外国人の料金、デポジット、病棟の選択肢 パッケージの範囲、医師料、デポジット、付き添いの扱い

金額はMOHが公表しているシンガポール国民の請求額の中央値(ページの最終更新2026年9月28日)です。

外国人の料金とは同じではありません。目安として見てください。

費用の考え方:MOHの請求額データを目安にする

MOHが公表している帝王切開の請求額

合併症のない帝王切開(SI834U)の入院の請求額です(MOH SI834U 請求額情報)。

病院・病棟 典型的な請求額(中央値) 典型的な範囲(25〜75パーセンタイル)
公立 Ward B2(補助あり) S$2,582 S$1,966〜3,656
公立 Ward C(補助あり) S$3,004 S$2,237〜4,698
公立 Ward A(補助なし) S$9,839 S$8,709〜11,457
公立 Ward B1(補助なし) S$8,490 S$7,405〜9,649
私立病院(入院) S$15,805 S$13,722〜18,563

金額はGST(消費税にあたる税)込みで、保険(MediShield Lifeなど)やMediSaveの支払い前の額です。公立は該当する場合は補助後の額です。

駐在家族は公立の補助なし病棟(A・B1)や私立病院の行が参考になります。

私立の執刀医の料金の目安はS$4,142〜5,886(GST込み)です。

MOHが公表している経腟分娩の請求額

経腟分娩(会陰切開の有無を問わない、SI836U)の入院の請求額です(MOH SI836U 請求額情報)。

病院・病棟 典型的な請求額(中央値) 典型的な範囲(25〜75パーセンタイル)
公立 Ward B2(補助あり) S$1,350 S$994〜1,757
公立 Ward C(補助あり) S$1,346 S$1,078〜1,757
公立 Ward A(補助なし) S$6,024 S$5,333〜6,882
公立 Ward B1(補助なし) S$4,463 S$4,037〜5,183
私立病院(入院) S$10,815 S$9,073〜12,547

病院ごとの金額もMOHのページに掲載されています。

私立病院の料金の例(Mount Alvernia)

Mount Alvernia Hospitalの産婦人科病室の1日あたりの料金(2026年1月1日から、GST込み)は、次のとおりです。

  • Standard Single S$793.52
  • Premium Single S$913.42
  • Junior Suite S$1,621.92
  • Premium Suite S$2,057.92

この4タイプの出産パッケージには付き添いの大人1名の宿泊と食事が含まれます。

外国人患者の入院時のデポジットは「推定費用の90パーセンタイルの100%」とされています(Mount Alvernia Hospital 公式)。

最新の金額は病院に確認してください。

見積もりをもらうときは、次の点を比べましょう。

  • パッケージに含まれる入院日数と、延びたときの追加料金
  • 産婦人科医・麻酔科医・小児科医の料金が含まれるか
  • 緊急帝王切開になった場合の料金
  • 新生児室やNICU(新生児集中治療室)の料金
  • 外国人のデポジットの額と支払い方法

会社の医療保険・駐在員保険で確認したいこと

出産費用をどこまでカバーできるかは、会社の医療保険や駐在員保険で大きく変わります。人事担当や保険会社に次の点を確認しておきましょう。

  • 出産(正常分娩・帝王切開)が補償の対象か。待機期間はあるか
  • 病院に直接支払ってもらえる(キャッシュレス)か、立て替えて請求するか
  • 補償の上限額と自己負担の割合
  • 生まれた赤ちゃんを保険に加える手続きと期限
  • 里帰り出産も補償の対象になるか

税金や手当の扱いは駐在員の税金入門もどうぞ。

妊婦健診と無痛分娩

妊娠中の女性(イメージ)
妊娠中の女性(イメージ)

妊婦健診の流れ(一般的な考え方)

妊娠がわかったら、産婦人科医を決めて妊婦健診を始めます。健診の内容や出産方法の方針は医師や病院によって違います。

そのため、最初の段階で次の点を確認しておきましょう。

  • 出産予定の病院
  • 費用の見積もり
  • 日本語対応
  • 緊急時の連絡先

無痛分娩(硬膜外鎮痛)は選べる?

KKH(KK女性・小児病院)の公式サイトによると、KKHでは麻酔科専門医が24時間対応しています。陣痛中の母親のおよそ40%が硬膜外鎮痛(epidural)を選んでいます。

ガスや注射による鎮痛など複数の方法も案内されています(KKH Women’s Anaesthesia)。

自分に合うかどうかや費用がパッケージに含まれるかは、健診の段階で確認してください。

出産後の手続き:やることと期限

手続きはシンガポール側と日本側が交互に続き、「赤ちゃんの滞在は原則生後42日まで」が全体の期限を決めます。

手続き 期限・目安 窓口
①シンガポールの出生登録 出生から42日以内(ICA)。MOM(人材開発省)は14日以内を案内 LifeSG(ICA)
②日本の出生届(国籍留保) 出生日から3か月以内 在シンガポール日本国大使館、または本籍地の市区町村
③日本のパスポート オンライン申請は生後3週間ごろが推奨 在シンガポール日本国大使館
④子どものDependant’s Pass 生後6週間以内に旅券取得とパス申請 MOM(会社経由)
⑤出産育児一時金 出産日の翌日から2年以内 加入している日本の健康保険
⑥予防接種 スケジュールは医師に確認 クリニック・病院

①シンガポールの出生登録(ICA・LifeSG)

ICAによると、シンガポールで生まれた子どもは42日以内に出生登録が必要です。親の在留資格や婚姻状況にかかわらずLifeSG(アプリまたはウェブ)で登録します。

手数料はS$18で、デジタル出生証明書は登録後90日以内にダウンロードします。

期限までに登録しないと、罰金や禁錮の対象になることがあります。

出典: ICA 出生登録と出生証明書

2022年5月29日から病院やICAでの対面の出生登録は終わりました。紙の出生証明書の受け取りも不要になりました(KKH 出生登録)。

Singpassを持たないパス保持者の親は、旅券の顔写真ページを提出します。

必要書類は出産前にLifeSG・ICAの案内で確認しておきましょう(Singpassの設定は入国後にやること(携帯・銀行・交通・Singpass))。

MOMの新生児向けページは、出生登録を「14日以内(暦日)」に行うよう案内しています。

大使館やDP(帯同家族パス)の手続きは、すべて出生証明書が起点です。DPの申請も生後6週間以内が目安です。

そのため、14日以内を目標に早めに登録しましょう。

②日本の出生届と国籍留保(在シンガポール日本国大使館)

出生届は出生日から3か月以内に提出します。在シンガポール日本国大使館の案内では、たとえば10月23日生まれなら翌年1月22日が期限です。

子どもが日本以外の国籍も持つ場合は、国籍留保の意思表示をした出生届を3か月以内に出す必要があります。出さないと、出生時にさかのぼって日本国籍を失います。

大使館に提出する主な書類は次のとおりです。

  • 出生届(大使館の書式)
  • ICAが発行する出生証明書(Certificate of Birth)
  • 出生証明書の和訳文
  • 届出人の有効な旅券の原本

窓口は来館予約制で、婚姻している父母の子どもなら親の1人の来館で手続きできます。署名は窓口でするので、署名欄は空けて持参します。

本籍地の市区町村に郵送などで届け出ることもできます。大使館経由の場合、戸籍への反映に約1か月かかり、年末年始や4月ごろはさらに時間がかかります。

③日本のパスポート(大使館)

DPの申請にはパスポートが必要です。ただし、パスポートは戸籍に反映されてからでないと交付されず、42日以内に間に合わないことがあります。

そこで大使館は、生後42日を超えて滞在する予定の新生児向けに、手続きの流れを案内しています。対象には、出生届を提出済みで、オンライン申請の時点で生後3か月以内など、条件があります。

流れは次のとおりです(在シンガポール日本国大使館 新生児の旅券申請)。

  • オンライン在留届(ORRネット)に子どもを登録する
  • パスポートをオンラインで申請する(生後3週間ごろが推奨。ICAの出生証明書を添付)
  • 「大使館メール」の発行を申し込むと、おおむね4開館日目までに、パスポート申請中を示す英文のメールが届く。これを在留資格の申請に使う
  • 戸籍に反映されたら、電子戸籍パスをオンライン申請画面に登録する。交付日の通知は登録から約1か月後。交付日は、来館する親が自分の旅券と来館予約の確定メールを用意し、子ども本人を連れて来館する

赤ちゃんの写真は、白いシーツなどの上にあおむけに寝かせ、目を開けた顔を真上から撮ります。細かい条件は大使館のページで最新情報を確認してください。

④子どものDependant’s Pass(MOM)

MOMの新生児向けページによると、EP(専門職の就労パス)またはS Pass(中技能の就労パス)の保持者の子どもは、ICAのSpecial Passで生後42日間滞在できます。

生後6週間以内にパスポートを取得して、DPを申請する必要があります。申請は会社がmyMOM Portalから行います。

オンライン申請なら、多くの場合3週間以内に結果が出ます。DPがまだ出ていない場合は、Special Passが28日間自動延長されます。

生後42日を超える遅れは入管法違反になります。

パスポートが間に合わない場合について、大使館は次のように案内しています。ICAのSpecial Passの42日間が終わる7日前に、MOMへSpecial Passを申請します。

その後はMOMのSpecial Passが自動更新になるとのことです。DPの発行はパスポート交付後です。

会社の人事担当とも出産前に段取りを共有しておきましょう。DP保持者の就労は駐在妻・夫の就労(DPのルール)で解説しています。

⑤出産育児一時金(日本の健康保険)

出産育児一時金は、公的医療保険の加入者が出産したときに支給される制度です。子ども1人につき原則50万円が支給されます(令和5年4月から)。

協会けんぽによると、50万円は産科医療補償制度に加入している医療機関等で妊娠22週以降に出産した場合の額です。未加入の医療機関等では48.8万円です(協会けんぽ 出産育児一時金について)。

海外出産の場合の額は加入先に確認してください。

出産時点で日本の公的医療保険に加入していて、妊娠4か月(85日)以上の出産なら、方法や場所を問わず対象です。海外出産でも、加入している保険者に申請できます。

申請期限は出産日の翌日から2年以内です。

出典: 厚生労働省 出産育児一時金等について

協会けんぽの場合、海外出産の申請には主に次の書類を添付します(協会けんぽ 出産育児一時金支給申請書)。

  • 海外の医療機関の医師・助産師の証明書
  • 出産日に海外にいたことがわかる書類(パスポートなどのコピー)
  • 協会けんぽが海外の医療機関に照会することへの同意書
  • 外国語の証明書の翻訳文(翻訳者の署名・住所・電話番号を明記)

駐在員本人が日本の会社の健康保険に加入し続け、配偶者がその扶養に入っている場合は、その健康保険が申請先です。医師の証明書は退院前に病院に依頼しておくとスムーズです。

⑥子どもの予防接種

シンガポールと日本の制度の違いや帰任時の考え方は子どもの予防接種にまとめています。具体的なスケジュールは小児科医に相談してください。

妊娠中の渡航・フライトについて

妊娠中に飛行機に乗れる時期や必要な書類(医師の診断書など)は航空会社ごとに決まっています。予約前に規定を確認し、渡航の可否は担当医に相談してください。

出産直後に赤ちゃんと移動する場合は、パスポートと在留資格の手続きの進み具合を踏まえて予定を立てましょう。

日本で里帰り出産する場合との比較

病院の廊下(イメージ)
病院の廊下(イメージ)

シンガポールか里帰りかは、費用だけでなく家族のサポート体制や上の子の事情で決まることが多いテーマです。

  • 健康保険:日本で出産する場合も、出産育児一時金には出産時点で日本の公的医療保険への加入が必要です。住民票を抜いている場合は加入状況を確認してください
  • 手続き:日本の出生届は国内の手続きになりますが、シンガポールに戻るには赤ちゃんのパスポートと入国・滞在のためのパスが必要です
  • 家族の時間:夫婦が離れる期間や、上の子の転園・休園の扱いも考えておきましょう(幼稚園・プリスクールの選び方)

よくある質問

駐在家族でも公立病院で出産できますか?

細かな条件は各病院に確認してください。MOHの入院補助の対象は国民とPRなので、EP・DPの家族は補助なしの料金になる前提で比べるのが現実的です。

出産費用はどれくらい見ておけばいいですか?

MOHの典型的な請求額(国民の場合・中央値)は次のとおりです。

  • 合併症のない帝王切開で公立の補助なし病棟:S$8,490〜9,839
  • 合併症のない帝王切開で私立病院:S$15,805
  • 経腟分娩で公立の補助なし病棟:S$4,463〜6,024
  • 経腟分娩で私立病院:S$10,815

実際の金額は病院の見積もりで確認してください。

出生登録はいつまでにしますか?

ICAの期限は出生から42日以内ですが、MOMは14日以内(暦日)を案内しています。後の手続きの起点になるので、早めに済ませましょう。

日本の出生届を出し忘れるとどうなりますか?

日本以外の国籍も持つ子どもは、出生日から3か月以内に国籍留保の意思表示をした出生届を出す必要があります。出さないと、出生時にさかのぼって日本国籍を失います。

海外で出産しても出産育児一時金はもらえますか?

出産時点で日本の公的医療保険に有効な加入資格があれば申請できます。原則50万円(産科医療補償制度に未加入の医療機関等では48.8万円)で、期限は出産日の翌日から2年以内です。

額と必要書類は加入先に確認してください。

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この記事は2026年9月29日時点の公式情報をもとにした一般的な情報です。医療に関する判断は必ず担当医に、料金や制度の最新情報は各病院・公式窓口に確認してください。

最終確認日: 2026-10-02

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この記事を書いた人

シンガポールで暮らす日本人家族のための生活情報メディアです。週末のおでかけ、学校・習い事、住まい、お金や手続きのことまで、「知りたかった」をわかりやすくまとめています。読者の皆様にとって有益な情報を掲載するよう努めております。情報の誤りやリクエストは、お問い合わせからお気軽にどうぞ。

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