シンガポールで銀行口座を開いたあと、「給与はどの口座で受け取るか」「日本円はどこに置くか」で迷う方もいると思います。
開設の条件や必要書類はシンガポール入国後にやることでまとめました。そのため、この記事では「どの口座を選ぶか」に絞りました。
DBS/POSB・OCBC・UOB・Citibankの代表的な口座を、各行の公式ページで確認し、比較表にしています。
比べた項目は、最低残高、維持手数料(fall-below fee)、金利の上がる条件、外貨口座、ATM、デビットカード、預金保険です。
特定の銀行をおすすめするものではありません。金利や手数料は変わりやすいので、数字はすべて2026年9月29日の確認時点のものです。
この記事はこんな方に
- 💼働く側(駐在員ご本人)にとって給与の受け取りや外貨の置き場所に合う口座を選べる
- 🏡帯同する側(ご家族・パートナー)にとって生活費の管理に使う口座を、手数料と使いやすさで選べる
ざっくり言うと
- 🏦口座選びは最低残高の手数料と金利条件で
- 😌残高を気にしたくないなら最低残高なしの口座
- 📈給与振込があるなら金利が上がる口座も選択肢
選び方の基準:4つの質問に答えてみる

口座の「良し悪し」は、家族の使い方で変わります。次の4つの質問に答えると、どの口座が合うかを絞りやすくなります。
1. 毎月、いくらを口座に置いておけるか
多くの普通預金口座には「平均残高がこの金額を下回ると手数料がかかる」というルールがあります。例えばDBS Multiplierは平均残高S$3,000未満で月S$5、UOB OneはS$1,000未満で月S$5です。
家賃やインター校の学費を払った直後に残高が大きく減る家庭では、この条件を割り込む月が出るかもしれません。
2. 給与をその銀行で受け取れるか
高い金利がつく口座は、ほとんどが「給与振込」を条件にしています。駐在員の場合、給与をシンガポールの口座で受け取るのか、日本の口座で受け取るのかは会社の制度によって違います。
まず勤務先の人事・総務に、給与の振込先と振込方法(GIRO〔口座自動引き落とし〕、PayNowなど)を確認しましょう。給与が振り込まれない場合、給与の条件で上がる金利は受け取れません。
3. クレジットカードを毎月いくら使うか
OCBC 360やUOB Oneは、同じ銀行のカードで月S$500以上使うことが条件の一つになっています。対象になるカードは銀行ごとに決まっているので、カードを作る前に確認が必要です。
4. 円・米ドルを持つか
日本への送金、日本からの仕送り、一時帰国の費用などで円を持ちたい場合は、外貨口座の条件を比べます。外貨口座は最初に預ける金額が大きい銀行もあり、SDIC(預金保険機構)の預金保険の対象外でもあります。
比較表(2026年9月29日確認時点)
普通預金・金利上乗せ型口座
| 銀行・口座 | 最初の預け入れ | 最低残高と維持手数料 | 金利が上がる主な条件 | 公式表示の最大金利 |
|---|---|---|---|---|
| DBS My Account | 不要 | 最低残高なし。紙の明細の場合は月S$2(電子明細・16歳以下は免除) | なし(金利上乗せ型ではない) | 公式で確認を |
| POSB eSavings/Passbook Savings など | 公式で確認を | 平均残高S$500未満で月S$2 | なし | 公式で確認を |
| DBS Multiplier | 不要 | 平均残高S$3,000未満で月S$5(29歳以下は免除) | 給与振込+カード利用・住宅ローン・保険・投資の取引額と種類数 | 年4.1%(給与などの収入+3カテゴリー以上・対象取引の合計が月S$30,000以上の場合。最初のS$100,000まで) |
| OCBC 360 | S$1,000 | 平均残高S$3,000未満で月S$2(1年目は免除) | 給与S$1,800以上、残高を月S$500以上増やす、対象カードで月S$500以上 など | 年4.70%(2026年12月31日までの期間限定の表示。通常は年4.45%。最初のS$100,000・Grow以外の5条件を満たした場合) |
| UOB One | S$1,000 | 月の平均残高S$1,000未満で月S$5 | 対象カードで月S$500以上+(給与S$1,600以上 または GIRO引き落とし月3件) | 年3.4%(S$125,000を超えS$150,000までの部分、2025年12月1日改定) |
| Citibank(口座全体) | 口座により異なる | 取引残高合計(TRB)が月末にS$15,000未満で月S$15 | 口座により異なる | 公式で確認を |
※「最大金利」は、各行が公式ページで表示している上限の数字です。条件をすべて満たし、上限額まで預けたときの金利で、残高全体にこの金利がつくわけではありません。
外貨(円・米ドル)口座
| 銀行・口座 | 円・米ドル | 最初の預け入れ・最低残高 | 維持手数料 | メモ |
|---|---|---|---|---|
| DBS My Account | どちらも可(外貨12通貨+シンガポールドル) | 最初の預け入れ不要、最低残高なし | 紙の明細の場合は月S$2 | 海外・オンラインでの外貨払いは、その通貨の残高から為替手数料なしで引き落とし |
| OCBC Global Savings Account | どちらも可(10通貨) | 円は¥500,000、米ドルはUS$5,000(利息がつく最低残高も同じ額) | S$0 | 円の口座には利息がつかない |
| UOB Global Currency Account | どちらも可(10通貨) | 円は¥150,000、米ドルはUS$1,000(平均残高の基準も同じ額) | 基準を下回ると円は¥1,500、米ドルはUS$10 | 21歳以上が対象 |
| Citibank Global Foreign Currency Account | どちらも可(14通貨) | 最初の預け入れはUS$10,000相当(Citigoldの条件を満たす人は免除) | 口座全体のTRB条件(S$15,000) | 金利は年0%と表示 |
銀行ごとの解説

DBS/POSB:残高条件のない口座と、取引で金利が上がる口座
DBSとPOSBは同じグループです。DBSの手数料一覧では、My Accountは最低残高がS$0とされ、紙の明細を選んだ場合だけ月S$2がかかります。
My Accountは、円・米ドルを含む12の外貨とシンガポールドルを1つの口座で持てるのが特徴です。
DBS Visa Debitカードなどと紐づけると、海外やオンラインでの外貨払いは、その外貨の残高から為替手数料なしで引き落とされると案内されています。
DBS Multiplierは、給与などの収入の振込(給与は取引コードSAL・PAYなど、DBSが定める条件を満たすもの)と、カード利用・住宅ローン返済・保険料・投資の取引の合計額やカテゴリーの数によって金利が決まる口座です。
公式ページの金利表(確認日時点)は次のとおりです。
| 対象取引の月合計(収入を含む) | 収入+1カテゴリー(最初のS$50,000) | 収入+2カテゴリー(最初のS$100,000) | 収入+3カテゴリー以上(最初のS$100,000) |
|---|---|---|---|
| S$500以上S$15,000未満 | 1.80% | 2.10% | 2.40% |
| S$15,000以上S$30,000未満 | 1.90% | 2.20% | 2.50% |
| S$30,000以上 | 2.20% | 3.00% | 4.10% |
最大の年4.1%は、「収入+3カテゴリー以上」で対象取引が月S$30,000以上の場合です。カテゴリーが1つだけなら、ボーナス金利がつくのは最初のS$50,000までです。
上限を超える残高には基本金利がつきます。申し込む前に公式の金利表で確認してください。
29歳以下は、収入がなくてもカード利用などで最初のS$50,000に年1.50%がつくと案内されています。平均残高がS$3,000を下回ると月S$5の手数料がかかります(29歳以下は免除)。
POSBのeSavings・Passbook Savingsなどは、平均残高S$500未満で月S$2です。DBS eMulti-Currency Autosave口座などは、手数料一覧では平均残高S$3,000未満で月S$7.50となっています。
ATMについて、DBSは自社サイトで「最も広いATMネットワーク」と説明しています。台数は公式ページで確認できなかったため、近所や職場の近くにあるかは、公式の店舗・ATM検索で確かめてください。
OCBC:給与・貯蓄・カードの3条件で金利が変わる360口座
OCBC 360は、条件ごとに金利が足されていく口座です。すべての残高に基本金利年0.05%がつき、そのうえで最初のS$100,000に次のボーナス金利がつきます。
| カテゴリー | 条件(公式の表示) | 最初のS$75,000 | 次のS$25,000 |
|---|---|---|---|
| Salary | GIRO/FAST/PayNowで給与S$1,800以上を振込 | 1.00% | 2.00% |
| Save | 平均残高を毎月S$500以上増やす | 0.50%(通常0.40%) | 1.10%(通常0.40%) |
| Spend | 対象のOCBCクレジットカードで月S$500以上 | 0.25% | 0.25% |
| Insure/Invest | 対象の保険・投資商品を購入 | 1.00% | 2.00% |
| Grow | 平均残高S$250,000以上 | 1.20% | 1.20% |
Saveの0.50%・1.10%は、2026年8月1日から12月31日までの期間限定の金利です(通常の金利は0.40%・0.40%と表示)。
公式ページの計算例では、最初のS$100,000にかかる最大実効金利(EIR)は、期間中は次のとおりです(通常時はそれぞれ年1.70%・1.95%・4.45%)。
- Salary+Saveで年1.95%
- Salary+Save+Spendで年2.20%
- Salary+Save+Spend+Insure+Investで年4.70%
期間後の金利は公式ページで確認してください。
開設時にS$1,000の預け入れが必要です。平均残高がS$3,000を下回ると月S$2の手数料がかかります(1年目は免除)。
外貨はGlobal Savings Accountで持てます。円はJPY500,000、米ドルはUS$5,000が最初の預け入れです。
最低残高を下回っても手数料はS$0です。円の口座には利息がつきません。
OCBCのデビットカードで対応通貨の買い物をすると、外貨取引手数料がかからないと案内されています。
UOB:カード利用が必須のOne口座
UOB Oneは、対象カードで月S$500以上使うことが前提です。そのうえで、給与S$1,600以上の振込か、GIROの引き落とし月3件のどちらかを満たすと金利が上がります。
公式ページでは、2025年12月1日に金利を改定したと案内されています。確認日時点の金利は次のとおりです。
| 月の平均残高 | カード利用のみ | カード+GIRO3件 | カード+給与振込 |
|---|---|---|---|
| 最初のS$75,000 | 0.65% | 1.00% | 1.00% |
| 次のS$50,000 | 0.05% | 2.00% | 2.50% |
| 次のS$25,000 | 0.05% | 0.05% | 3.40% |
| S$150,000超 | 0.05% | 0.05% | 0.05% |
表の金利は残高の区分ごとにつくものです。S$150,000全体に3.4%がつくわけではありません(公式ページでは、カード+給与振込でS$150,000を置いた場合の利息を年S$2,850と試算しています)。
対象カードには、UOB One Cardなどのクレジットカードのほか、UOB One Debit Visa・UOB One Debit Mastercardも含まれます。
開設時の預け入れはS$1,000、月の平均残高がS$1,000を下回ると月S$5です。6ヶ月以内に解約するとS$30の手数料がかかります。
外国人は支店での申し込みになると案内されています。
外貨の口座はGlobal Currency Accountです。円はJPY150,000、米ドルはUS$1,000が、最初の預け入れと平均残高の基準です。
下回ると円はJPY1,500、米ドルはUS$10の手数料がかかります。対象は21歳以上です。
UOBのATMページでは、OCBCとATMネットワークを共有していると案内されています。また、海外(地域内)のUOBのATMでの引き出しは、サービス手数料を免除するとしています。
Citibank:口座全体の残高で判断
Citibankは口座ごとではなく、預金などを合計した「Total Relationship Balance(TRB)」で維持手数料を判断します。
2026年9月付けの料金ガイドでは、月末のTRBがS$15,000未満だと月S$15の手数料がかかります。
Global Foreign Currency Accountは円・米ドルを含む14通貨に対応しています。公式ページでは金利は年0%と表示されています。
料金ガイドでは、最初の預け入れがUS$10,000相当とされています(Citigoldの条件を満たす人は免除)。Citibank Debit Mastercardを使うと、CitibankのATMでの引き出しは無料と案内されています。
Citibankは、Maybankなどと共有するATMネットワーク「atm5」の参加行としてMaybankの公式ページに掲載されています。他行のATMでの手数料の条件は、公式で確認してください。
預金保険(SDIC)と外貨預金
シンガポール預金保険公社(SDIC)の制度では、加盟行に預けたシンガポールドルの普通預金・定期預金・当座預金が保護されます。保護されるのは、1人あたり・1加盟行あたり合計S$100,000までです。
共同名義の口座は、原則として名義人で均等に分け、それぞれの個人口座と合算して上限を判断します。
外貨預金、仕組預金、投資信託や株式などの投資商品は保護の対象外です。円や米ドルを多く置く場合は、この点を知っておきましょう。
駐在中の資産の置き方はシンガポール駐在中の資産運用で詳しくまとめています。
日本人家族が考えておきたいこと

日本語での対応
今回確認した4行の公式ページでは、日本語での窓口や電話サポートについての案内は見つかりませんでした。日本語での相談を希望する場合は、各行に直接問い合わせてください。
アプリや申込フォームは英語が前提と考えて準備しておくと安心です。
配偶者(DP)の口座
UOBは、外国人の口座開設案内の中でDependant’s Pass(DP)保有者も対象に挙げています。
UOB Oneの申し込みでは、外国人は支店で、次の原本を持参するよう案内しています(審査の結果、開設できない場合もあるとしています)。
- パスポート
- 住所証明
- EP(専門職の就労パス)/S Pass/DP
DBSは、My AccountとMultiplierについて、EP・S Pass(中技能の就労パス)・DPなどの外国人もSingpassを使ってdigibankアプリで申し込めると案内しています。
OCBC・Citibankで、DPの家族が単独で口座を開けるかどうかは、公式で確認してください。共同名義の口座を作る場合、SDICの保護額は名義人ごとに計算される点も覚えておきましょう。
子どもの口座
DBS My Accountは開設時の年齢制限がないと案内されています(digibankアプリで個人口座を開く場合は16歳以上)。
お小遣いや学費の管理に使えるかは、各行の子ども向け口座も含めて確認してください。
日本の口座との関係
日本の銀行口座を残すかどうか、海外住所への変更手続きが必要かどうかは、日本の各金融機関によって扱いが違います。赴任前に、使っている日本の銀行・証券会社に確認しておきましょう。
帰任時の口座解約の流れはシンガポール帰任(本帰国)手続きチェックリストを参考にしてください。
よくある質問
口座は1つで足りますか?
家族の使い方によります。例えば、給与の受け取りと家賃・学費の支払いは金利上乗せ型の口座、日々の買い物は最低残高のない口座、というように分けることもできます。
ただし口座が増えるほど、それぞれの最低残高を割りやすくなります。維持手数料の条件を一覧にして管理しましょう。
給与が日本払いでも、金利上乗せ型の口座を使う意味はありますか?
給与振込を条件にしている金利は受け取れません。OCBC 360のSpend・Saveのように、給与以外の条件で上がる金利もあります。
UOB Oneのカード+GIROの金利のように、給与以外の組み合わせもあります。自分が満たせる条件だけで計算し直してから選びましょう。
「最大3.4%」ならS$150,000に3.4%がつきますか?
つきません。UOB Oneの場合、3.4%は最後の「次のS$25,000」(S$125,000を超えS$150,000までの部分)にかかる金利です。
最初のS$75,000は1.00%、次のS$50,000は2.50%です(カード+給与振込の場合)。ほかの銀行の「最大○%」も、条件と上限額をセットで確認してください。
円はシンガポールの外貨口座に置くべきですか?
一律の答えはありません。外貨口座は銀行ごとに最初の預け入れや手数料が違い、SDICの保護の対象外です。
いつ、何のために円を使うかを考えて判断してください。個別の資産運用の判断は、専門家や金融機関に相談することをおすすめします。
金利や手数料はどのくらいの頻度で変わりますか?
決まった頻度はありません。
UOB Oneは2025年12月1日に金利を改定しています。OCBC 360は2026年12月31日までの期間限定金利を表示しています。
口座を選ぶ直前と、その後も定期的に公式ページを確認しましょう。
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公式ページ:DBS 最低残高と手数料/DBS Multiplier/DBS My Account/OCBC 360/OCBC Global Savings Account/UOB One/UOB Global Currency Account/Citibank 料金ガイド/Citibank Global Foreign Currency Account/SDIC FAQ
最終確認日: 2026-10-02


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