MRT(都市鉄道)の駅や空港の整備、国防のニュースなどで目にする「ST Engineering」。何でもやっている会社という印象を持つ人も多いかもしれません。
実際には、航空機の整備、防衛、都市インフラの3本柱で動く、シンガポールを代表する技術系の企業グループです。
この記事はこんな方に
- 💼働く側(駐在員ご本人)にとって航空・防衛・インフラの取引先として、事業の3本柱をつかめる
- 🏡帯同する側(ご家族・パートナー)にとって駅や空港など、街のインフラを支える会社がわかる
ざっくり言うと
- ⚙️何の会社?航空機整備・防衛・都市インフラを手がける技術・エンジニアリング企業
- 🇯🇵日本とは?JALグループの機体部品・エンジン整備を長く請け負う
- 👔駐在員との接点は?MRTの通信・制御システムなど、街のインフラの裏側に
ST Engineeringってどんな会社?

シンガポールの国防を支える組織として1967年に始まり、今は100か国以上に顧客を持つ技術企業グループです。1997年12月にシンガポール取引所に上場しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Singapore Technologies Engineering Ltd |
| SGXコード | S63 |
| 創業 | 1967年 |
| 本社 | シンガポール |
| 主要株主 | Temasek Holdings(持分約51%、2026年3月末時点) |
| 事業領域 | 商用航空(整備など)、防衛・公共安全、都市ソリューション・衛星通信 |
| 決算期 | 12月 |
| 従業員数 | 2万7,000人以上 |
| 公式サイト | stengg.com |
事業の中身
| セグメント | 中身 | 売上高(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 商用航空(Commercial Aerospace) | 旅客機の整備(MRO)、エンジン整備、ナセル(エンジンカバー)の製造、旅客機を貨物機に改造する事業など | S$49億9,000万(前期比14%増) |
| 防衛・公共安全(Defence & Public Security) | 陸・海・空の防衛システム、治安・重要インフラの守り、サイバーセキュリティ、人工衛星など | S$53億3,000万(同8%増) |
| 都市ソリューション・衛星通信(Urban Solutions & Satcom) | 鉄道の通信・制御システム、交通システム、衛星通信など | S$20億3,000万(同4%増) |
業績の規模感
| 項目 | 2025年12月期 | 2024年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | S$123億5,000万(+9%) | S$112億8,000万 |
| 純利益(一時的な損益を除く) | S$8億5,100万(+21%) | S$7億200万 |
| 純利益(決算書上) | S$4億6,280万 | S$7億230万 |
| 受注残高(年末) | S$332億 |
3事業そろって増収で、一時的な損益を除いた純利益は2割増えました。決算書上の純利益が減ったのは、衛星通信子会社iDirectの減損損失(S$6億6,710万)を計上したためです。
一方で、建設機械のLeeBoy、タクシー会社CityCabの株式などを売却して利益を出し、事業の整理を進めました。
2025年の新規受注はS$187億(前年比49%増)。2026年1〜6月期も売上高S$65億7,000万(前年同期比11%増)、受注残高S$357億と伸びています。
日本とのつながり

日本とのつながりは、航空機整備でJAL(日本航空)グループと長く続く取引です。公式リリースで確認できる主なものは次のとおりです。
- 🔧 2019年: 日本トランスオーシャン航空(JALグループ)のボーイング737NG型機のエンジン整備を15年契約で受注。シンガポールの工場で整備
- ✈️ 2021年: JALとZIPAIR Tokyoのボーイング787型機全機の部品整備を5年契約で受注
- 📦 2023年: JALの737-800型機の部品整備契約を更新。スプリング・ジャパンのA321型貨物機の部品整備も新たに受注
日本の航空会社の機体が、シンガポールで整備されているというのは少し意外かもしれません。
駐在員の仕事・暮らしとの接点
毎日乗るMRTの裏側に、ST Engineeringのシステムがあります。
次の路線の通信システムを手がけています。
- North-South線
- East-West線
- Circle線
- Downtown線
Circle線とDowntown線では、駅や列車の運行を一元的に監視するシステムも納めました。
建設中のCross Island線(約50km、地下駅21駅)でも同様のシステムを受注しました。Thomson-East Coast線の延伸やJurong Region線でも仕事をしています。
仕事の面では、航空・防衛・インフラ・ITのどれかに関わる駐在員なら、取引先や協業相手として名前が出てくる会社です。従業員は世界で2万7,000人以上。
エンジニアの就職・転職先としても定番です。
最近の動き
- 事業の選別:2025年にLeeBoy、CityCab、STARCO、SPTelの株式などを売却。
- 宇宙事業:2026年2月、衛星間のレーザー通信を試す「NEBULA」や、レーダー衛星4機のNeuSAR-2計画(1機目は2027年に打ち上げ予定)を発表。
- 大型受注:2026年1〜6月期に、米ニュージャージー州の有料道路の電子料金収受(E-ZPass)サービス契約(US$13億、約S$17億)を受注残に加えました。
- シンガポールの交通:2025年7〜9月期にThomson-East Coast線延伸の鉄道電子システムや、次世代の交通管理システムを受注。
よくある質問
国防の会社なの?民間の会社なの?
SGX上場の企業です。2025年12月期の売上高S$123億5,000万のうち、防衛・公共安全セグメントはS$53億3,000万。
残りは商用航空(S$49億9,000万)と都市ソリューション・衛星通信(S$20億3,000万)です。旅客機の整備や鉄道システムなどの事業にあたります。
Temasekとの関係は?
Temasek Holdingsが約51%を持つ筆頭株主です(2026年3月末時点)。
決算期はいつ?
12月です。2025年12月期の決算は2026年2月27日に発表されました。
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数字は各社の公式発表(2025年12月期ほか)に基づきます。この記事は企業情報の紹介を目的としたもので、特定の銘柄の売買をおすすめするものではありません。
最終確認日: 2026-10-02 / 最新情報は公式ページよりご確認ください。


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