ニュースでよく見る「Seatrium(シートリウム)」。Tuasの造船所の名前として聞いたことはあっても、何を作っている会社かは意外と知られていません。
実は海底油田やガス田、洋上風力の「海の巨大設備」をつくる会社です。
この記事はこんな方に
- 💼働く側(駐在員ご本人)にとって海事・エネルギー関係の取引先として、何をつくる会社かをつかめる
- 🏡帯同する側(ご家族・パートナー)にとってニュースでよく見る社名が、何の会社かがわかる
ざっくり言うと
- 🚢何の会社?FPSO(海に浮かべる石油・ガスの生産設備)など海洋設備と洋上風力設備をつくり、船の修理・改造もする
- 🇯🇵日本とは?日本のMODECが長年の顧客。日本郵船とはアンモニア燃料供給船の設計で協力
- 👔駐在員との接点は?海事・エネルギー関係の取引先として。クルーズ船の修理・改装も
Seatriumってどんな会社?

2023年にSembcorp MarineとKeppel Offshore & Marineが統合して生まれた、シンガポールの海洋エンジニアリング大手です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Seatrium Limited(旧Sembcorp Marine) |
| SGX(シンガポール取引所)コード | 5E2 |
| 設立 | 1963年(1987年にSGX上場) |
| 本社 | シンガポール(80 Tuas South Boulevard) |
| 主要株主 | Temasek(持分36%、2026年3月末時点) |
| 事業領域 | 海洋石油・ガス設備、洋上風力設備、船舶の修理・改造 |
| 決算期 | 12月 |
| 従業員数 | 24,000人以上(15か国) |
| 公式サイト | seatrium.com |
会社のルーツは1963年設立のSembcorp Marine。2023年2月28日にKeppel Offshore & Marineとの統合が完了しました。
同年4月末に社名をSeatriumに変えました。「sea(海)」と「atrium(アトリウム)」を組み合わせた造語です。
事業の中身
1件ごとの規模が大きいプロジェクト型の仕事が中心です。
たとえば、石油・ガスを海の上で生産・貯蔵するFPSO(浮体式生産貯蔵積出設備)や、洋上風力の電気を送る変換設備などです。
※ 金額のMは百万、Bは10億の単位です。
| 事業 | 中身 | 2025年12月期の売上 |
|---|---|---|
| Oil and Gas(石油・ガス) | ブラジルPetrobras向けFPSOなど | S$8.1B(全体の71%) |
| Offshore Wind(洋上風力) | 2GW級の高圧直流(HVDC)変換設備など | S$2.1B(18%) |
| Repairs and Upgrades(修理・改造) | クルーズ船・LNG(液化天然ガス)船などの修理と改造 | S$0.8B(7%) |
| Others(その他) | ― | S$0.4B(4%) |
修理・改造では、2025年に185隻を手がけました。受注残は2025年末でS$17.8B(24案件)あり、2033年ごろまでの仕事が見えている状態です。
業績の規模感
| 項目 | 2025年12月期 | 2024年12月期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | S$11.5B | S$9.2B | +24% |
| 純利益 | S$323.6M | S$156.8M | +106% |
| 粗利益率 | 7.4% | 3.1% | 改善 |
売上は2割以上伸び、純利益は前期の約2倍になりました。
石油・ガスではPetrobras向けFPSO(P-84・P-85)、洋上風力では2GW級HVDC設備の工事が進んだことが主な理由です。
一方で、修理・改造は貿易をめぐる先行き不安やLNG船市場の低迷で前期比25%減となりました。2026年6月末の受注残はS$13.3Bで、その95%超を同じ設計をくり返し使う「シリーズ建造」の案件が占めます。
日本とのつながり

日本のFPSO大手MODEC(三井海洋開発)は、Seatriumが「長年の顧客」と呼ぶ取引先です。1996年のFPSO改造「Whakaaropai」以来、多くのFPSOをMODEC向けに納めてきました。
2024年5月には、FPSO「Errea Wittu」の上部設備の据え付け・統合工事を受注しています。南米ガイアナ沖のUaru油田で使うFPSOです。
日本郵船とは、アンモニア燃料の供給船の開発で協力しています。日本郵船を含むコンソーシアムは2025年2月、この船の基本設計承認(AiP)を日本海事協会から取得しました。
Seatriumグループの設計会社LMG Marinが設計技術を提供しており、シンガポールでの就航を目指す計画です。
駐在員の仕事・暮らしとの接点
- 取引先として: 海運・エネルギー・プラント・機器メーカーの駐在員なら、発注元や納入先として名前が出てくる会社です。
- クルーズ船: Royal Caribbean Groupとは2012年から協力関係にあり、Tuas Boulevard Yardで同グループのクルーズ船の点検・修理・改装をしています。1978年以来、修理したクルーズ船は430隻を超えます。
- 電力: 2026年7月、自社の浮体式の分散型エネルギー設備「Floating Living Lab」から、シンガポールの電力網に初めて電気を送りました。HDB4ルーム約1,500世帯の1か月分をまかなえる余剰電力を生み出せる設備です。
- 就職・転職先として: エンジニアリング、プロジェクト管理、調達などの職種があります。現地採用の仕事探しは現地採用ガイドも参考に。
最近の動き
- コスト削減: タグボート17隻、インドネシアのKarimun Yard、シンガポールのCrescent Yardなど本業以外の資産を売却し、年S$50M超の運営コスト削減を見込みます(2026年2月発表)。
- クルーズ船の大型案件: 2026年3月、Royal Caribbean Groupとの協力を強め、グループ各ブランドのクルーズ船を複数年にわたってドック入りさせる契約を更新しました。
- LNG関連: 2026年3月、Karpowership社から、LNG運搬船をFSRU(浮体式LNG貯蔵再ガス化設備)に改造する工事を受注しました。同社向けのFSRU改造は8件目です。
よくある質問
KeppelやSembcorpとはどういう関係?
SeatriumはSembcorp Marineが前身で、2023年にKeppelの海洋部門Keppel Offshore & Marineと統合しました。
いまは電力のSembcorp Industries、インフラ・不動産などのKeppelとは別の上場会社です。
Temasekとの関係は?
Temasekのポートフォリオでは、Seatriumの持分は36%(2026年3月末時点)と公表されています。
造船会社なの?
一般的な商船を量産する造船会社というより、FPSOや洋上風力の変換設備など海洋設備が中心です。船の修理・改造も手がけます。
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数字は各社の公式発表(2025年12月期・2026年6月中間期)に基づきます。この記事は企業情報の紹介を目的としたもので、特定の銘柄の売買をおすすめするものではありません。
最終確認日: 2026-10-02 / 最新情報は公式ページよりご確認ください。


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