ニュースや取引先の資料で見かける「Jardine(ジャーディン)」。
香港の会社のイメージが強いのに、なぜシンガポール取引所(SGX)のSTI(シンガポールの代表的な株価指数)構成銘柄なのか。不思議に思ったことはありませんか。
実は、駐在員が毎日のように目にするオフィスビルやドラッグストアの親会社です。
この記事はこんな方に
- 💼働く側(駐在員ご本人)にとって多くの有力企業の親会社として、グループの関係を整理できる
- 🏡帯同する側(ご家族・パートナー)にとって普段使うドラッグストアやコンビニの親会社がわかる
ざっくり言うと
- 🏢何の会社?アジアの有力企業を束ねる、1832年創業の投資会社
- 🇯🇵日本とは?日本に最初に拠点を置いた外国商社。傘下のAstraはトヨタやホンダと協業
- 👔駐在員との接点は?MBFC(マリーナベイ・フィナンシャルセンター)のオフィス、Guardian・7-Eleven、Mandarin Orientalなど
Jardine Mathesonってどんな会社?

不動産・小売・自動車・ホテルなど、アジアの主要企業に長期で投資する「グループの司令塔」です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Jardine Matheson Holdings Limited |
| SGXコード | J36 |
| 創業 | 1832年(広州) |
| 持株会社の設立 | 1984年(バミューダ籍) |
| 上場市場 | ロンドン証券取引所(プライマリー)、シンガポール(セカンダリー) |
| 主な投資先 | Astra、Hongkong Land、DFI Retail Group、Mandarin Orientalなど |
| 事業領域 | 自動車、不動産、小売、ホテル、金融、エンジニアリングなど |
| 決算期 | 12月 |
| 公式サイト | jardines.com |
1832年に広州で創業した商社が起源です。1984年に、グループの持株会社がバミューダで設立されました。
1990年にグループ各社がロンドンをプライマリー市場にした際、アジアでの株式売買の中心がシンガポールに移りました。これが、香港ゆかりの会社がSGXに上場している理由です。
2025年には、自ら事業を運営する「オーナー経営者」から、長期に関与する「投資会社」への転換を打ち出しています。
事業の中身
Jardine自体は持株会社で、稼ぎの中身は投資先の会社です。2025年12月期の基礎純利益(一時的な損益を除いた利益)を、どの投資先が生んだかで見ると次のとおりです。
| 投資先 | 中身 | 持ち分 | 基礎純利益の構成比 |
|---|---|---|---|
| Astra | インドネシアの大手企業グループ(自動車、金融、鉱業関連など) | JMSEA(旧JC&C)経由で50.1% | 46% |
| Hongkong Land | 香港・シンガポールなどの高級オフィス・商業施設 | 54.7% | 14% |
| DFI Retail Group | Guardian、7-Elevenなどの小売 | 77.5% | 12% |
| Jardine Pacific | エンジニアリング・インフラや消費者向け事業 | 100% | 11% |
| Jardine Matheson Southeast Asia(JMSEA、旧Jardine Cycle & Carriage=JC&C) | 東南アジアの中間持株会社(Astra以外) | 85.5% | 9% |
| Zhongsheng | 中国本土の投資先 | 21.4% | 4% |
| Mandarin Oriental | 高級ホテル | 100% | 4% |
ひとことで言えば「Astra頼み」の構造で、利益のほぼ半分をインドネシア事業が占めています。
業績の規模感
| 項目 | 2025年12月期 | 2024年12月期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | US$342億1,700万 | US$357億7,900万 | 4%減 |
| 基礎純利益 | US$16億8,100万 | US$15億1,800万 | 11%増 |
| 純利益(株主帰属) | US$11億900万 | US$4億6,800万の赤字 | 黒字転換 |
売上は4%減りましたが、本業の実力を示す基礎純利益は11%増えました。前期は最終赤字でしたが、2025年12月期は黒字に戻っています。
2025年にはグループ全体でUS$48億の資本を回収(資産の売却など)しました。また、US$28億を投資先の設備投資などに再投資しました。
日本とのつながり

日本との縁は幕末までさかのぼります。公式の年表によると、横浜で最初に行われた土地の売却で「1番地」を取得し、日本に拠点を置いた最初の外国商社になりました。
いまの事業では、利益の柱であるAstraが、次のような日本ブランドの車やバイクを製造・販売しています。
- トヨタ
- ダイハツ
- いすゞ
- ホンダ
- レクサス
- UDトラックスなど
グループのホテル「Mandarin Oriental, Tokyo」は東京・日本橋にあります。
駐在員の仕事・暮らしとの接点
- 🏢 オフィス: Hongkong LandはMarina Bay Financial Centre(MBFC)、One Raffles Quayなどに出資
- 🛍️ 買い物: DFIのGuardian(ドラッグストア)と7-Eleven(コンビニ)
- 🏨 ホテル: Marina Bayの「Mandarin Oriental, Singapore」
- 🚗 車: シンガポールの老舗ディーラーCycle & Carriageはグループが運営してきましたが、2026年8月にシンガポール・マレーシアの事業をインドネシアのChandra Asriグループへ売却することで合意しています
取引先としては、グループ各社とのビジネスが入り口になります。インドネシアやベトナムに関わる仕事なら、Astraや東南アジアの持株会社の名前を聞く機会も多いはずです。
現地採用で転職先を探すときにも、業種の幅が広いグループとして候補になります。
最近の動き
- 2026年1月、Mandarin Orientalの非公開化が完了(残り11.96%をUS$4億1,500万で取得)
- 2025年12月、Lincoln Pan氏がCEOに就任
- 2026年5月、オーストラリアの画像診断大手I-MED Radiology Networkの買収に合意(企業価値A$34億)
- 2026年8月、JC&Cがシンガポール・マレーシアのCycle & Carriage自動車販売事業を、Chandra Asriグループ傘下のCCHPL Holdingsへ約S$2億6,500万で売却することで合意(ディーラー契約の相手先の同意などが条件)
- JC&Cは2026年10月1日の臨時株主総会で、社名をJardine Matheson Southeast Asia Limitedへ変更することを決議し、同日付で変更(SGXでの銘柄名は10月6日から「JMSEA」)
- 2026年2月、Hongkong Landがシンガポールでオフィス特化の大型私募ファンドSCPREFを設立
よくある質問
なぜ香港ゆかりの会社がシンガポールに上場しているの?
持株会社はバミューダ籍です。1990年にロンドンをプライマリー市場とした際、アジアでの売買の中心をシンガポールに移しました。
いまもSGXにセカンダリー上場しています。
Hongkong LandやDFIとの関係は?
どちらもJardineが過半数を持つ子会社で、それぞれ別にSGXに上場しています。持ち分はHongkong Landが54.7%、DFIが77.5%です(2025年末時点の公式発表)。
Jardine Matheson Southeast Asia(旧Jardine Cycle & Carriage)とCycle & Carriageは同じ会社?
別物です。Jardine Matheson Southeast Asia(JMSEA)は、SGXに上場するグループの東南アジアの持株会社です。Astraの50.1%などを保有しています。
旧社名はJardine Cycle & Carriage(JC&C)です。2026年10月1日の臨時株主総会で社名の変更を決議し、同日付で現在の社名になりました。
Cycle & Carriageは、シンガポール・マレーシアの自動車販売事業の名前です。同社は2026年8月にこの事業の売却に合意しました。
関連記事
数字は各社の公式発表(2025年12月期ほか)に基づきます。この記事は企業情報の紹介を目的としたもので、特定の銘柄の売買をおすすめするものではありません。
最終確認日: 2026-10-02 / 最新情報は公式ページよりご確認ください。


コメント