Kallang BasinやRedhill、Tiong Bahruのあたりで見かける、HDB(公営住宅)の団地のような工場ビル。取引先の工場や倉庫がこうした建物に入っていることも多いのではないでしょうか。
その多くを持つのがMapletree Industrial Trust(MIT)です。いまでは評価額の半分以上がデータセンターという、姿を変えつつあるREIT(不動産投資信託)です。
この記事はこんな方に
- 💼働く側(駐在員ご本人)にとって取引先の工場や倉庫が入る建物の、持ち主と事業がわかる
- 🏡帯同する側(ご家族・パートナー)にとって団地のように見える工場ビルが、どんな建物かがわかる
ざっくり言うと
- 🏭何の会社?シンガポールの工業ビルと、北米・日本のデータセンターを持つREIT
- 🇯🇵日本とは?大阪のデータセンターと東京の複合施設の2物件を保有
- 👔駐在員との接点は?製造・IT系の取引先が入居する工業ビルやハイテクビルの大家
Mapletree Industrial Trustってどんな会社?

Temasek傘下のMapletreeがスポンサーの、シンガポール有数の産業系REITです。
REIT(不動産投資信託)は、投資家から集めたお金で不動産を持ち、賃料収入の大部分を投資家に分配するしくみです。
MITはシンガポールの工業ビルに加え、北米と日本でデータセンターを保有しています。
スポンサーのMapletree Investmentsは、Temasekが100%を持つ不動産会社です。MITの約26%を保有しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Mapletree Industrial Trust |
| SGX(シンガポール取引所)コード | ME8U |
| 上場 | 2010年10月21日(SGXメインボード) |
| スポンサー | Mapletree Investments Pte Ltd(Temasekが100%保有、MITの25.99%を保有) |
| 事業領域 | シンガポールの工業・ハイテクビル、北米・日本のデータセンター |
| 物件数・資産規模 | 136物件、S$83億(2026年3月末) |
| 決算期 | 3月 |
| 公式サイト | mapletreeindustrialtrust.com |
事業の中身
物件は3つのタイプに分かれます。地域別の評価額は北米46.5%、シンガポール46.3%、日本7.2%です。
| タイプ | 中身 | 評価額に占める割合 |
|---|---|---|
| データセンター | 北米(合弁含む)、シンガポールのTai Seng地区、大阪・東京 | 57.3% |
| ハイテクビル・ビジネススペース | K&S Corporate Headquarters、30A Kallang Placeなど | 18.4% |
| 一般工業ビル | Kallang Basin、Redhill、Tiong Bahru、Kolam Ayerなどのフラッテッド・ファクトリー(集合工場ビル) | 24.3% |
物件数ではシンガポールが79件と最多、北米55件(合弁のデータセンター13件を含む)、日本2件です。シンガポールの稼働率は93.4%でした。
業績の規模感
| 項目(2026年3月期) | 金額 | 前期比 |
|---|---|---|
| 総収入(Gross revenue) | S$6億7,300万 | -5.5% |
| 純不動産収入(NPI) | S$5億40万 | -5.9% |
| 分配可能額 | S$3億6,260万 | -6.1% |
| 1口あたり分配金(DPU) | 12.71セント | -6.3% |
2026年3月期は、収入・分配金ともに前期を下回りました。次の影響によるものです。
- シンガポールの3物件の売却
- 北米での一部賃貸契約の非更新
- 米ドル安
全体の稼働率は91.2%です。
日本とのつながり

MITは2023年に大阪のデータセンターの取得を発表し、日本に進出しました。いまは日本に2物件を持っています。
- 大阪のデータセンター: 2023年5月に取得を発表、取得額は520億円(JPY52.0 billion)。データセンター事業者に一括で貸していて、発表時の平均残存賃貸期間は約20年。内装工事の最終段階は2025年5月に完了
- 東京の複合施設: 2024年9月に発表し、同年10月に145億円(JPY14.5 billion)で取得した所有権(フリーホールド)物件。データセンター、バックオフィス、研修施設、宿泊棟からなり、日本の大手企業グループに一括で貸しています。将来は新しいデータセンターへの建て替えも視野に入れています
駐在員の仕事・暮らしとの接点
- 取引先の入居先として: Kallang Basin、Redhill、Tiong Bahru、Kolam Ayer、Toa Payoh Northなどのフラッテッド・ファクトリーはMITの物件。工場や取引先を訪ねたら、そこがMITのビルだったということも
- データセンターの利用者として: クラウドやITインフラの仕事をしている人には、Tai Seng地区のデータセンターが身近かもしれません
- Mapletreeグループの一員として: VivoCityを持つMPACTや物流のMLTと同じスポンサー。Mapletree Investmentsは13市場でS$803億の資産を運用しています(2025年3月末)
最近の動き
- シンガポールと北米の物件を売却: 2025年8月にシンガポールのThe Strategy、The Synergy、Woodlands Central Clusterを売却。北米の2775 Northwoods Parkwayと合わせ、2026年3月期に完了した売却は合計S$5億5,060万
- 大阪データセンターの工事完了(2025年5月): 内装工事の最終段階が完了
- データセンター比率の上昇: 評価額に占めるデータセンターの割合は57.3%(2026年3月末)
よくある質問
MITとMLTはどう違うの?
同じMapletreeがスポンサーですが、MITは工業ビルとデータセンター、MLTは倉庫などの物流施設が中心です。
Temasekとの関係は?
スポンサーのMapletree InvestmentsはTemasekが100%を持つ会社です(2026年3月末時点)。MapletreeはMITの25.99%を保有しています。
日本のデータセンターは誰が使っているの?
公式発表では、大阪は「データセンター事業者」、東京は「日本の大手企業グループ」に一括で貸していると説明されています。社名は公表されていません。
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数字は各社の公式発表(2026年3月期)に基づきます。この記事は企業情報の紹介を目的としたもので、特定の銘柄の売買をおすすめするものではありません。
最終確認日: 2026-10-02 / 最新情報は公式ページよりご確認ください。


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