「ローカル校って、日本の公立校と何が違うの?」「PSLE(小学校卒業試験)の点数で中学が決まるって本当?」。
シンガポールで子育てをしていると、現地の友だちや同僚からこうした話題がよく出てきます。
この記事では、MOE(教育省)の英語の公式情報をもとに、小学校から大学進学までのしくみを、日本人家庭の目線で整理しました。
この記事はこんな方に
- 💼働く側(駐在員ご本人)にとって現地の同僚との会話に出る教育の話題と、子どもの進路の全体像がわかる
- 🏡帯同する側(ご家族・パートナー)にとって小学校から進学までの流れと、外国人家庭の注意点がわかる
ざっくり言うと
- 🏫学校のしくみは小学校6年→中学校4〜5年→JC(高校にあたる2年制のジュニアカレッジ)・ポリテクなど。1月始まりの4学期制
- 📝いちばんの山場は小6のPSLE。4科目の合計点(4〜32点、低いほど良い)で進む中学が決まる
- 🇯🇵外国人家庭は同点なら国民・PR(永住者)が優先。母語(中国語など)の扱いが点数に響く
学校の全体像:日本との違いは「国の試験で進路が分かれる」こと

シンガポールの学校は、小6と中4(または中5)の国の試験で次の学校が決まるしくみです。日本の「住んでいる地域の学校に進む」とは考え方が大きく違います。
| 段階 | 年数 | 節目の試験・手続き |
|---|---|---|
| 小学校(Primary、P1〜P6) | 6年 | P6でPSLE(小学校卒業試験) |
| 中学校(Secondary、S1〜S4/S5) | 4〜5年 | SEC(2027年から。O/Nレベルに代わる新しい試験) |
| 6年一貫校(IP) | 6年 | 中4の試験なし。A-レベル・IB(国際バカロレア)などへ |
| JC(ジュニアカレッジ)/MI | 2年/3年 | A-レベル→大学 |
| ポリテクニック/ITE | 3年/2〜3年 | ディプロマなど(実務系) |
学年は1月に始まり、4学期制です。2027年は1月4日(月)に始まります(P1は4日、P2〜P6は5日から登校)。
休みは次の時期にあります。
- 3月中旬
- 5月末〜6月
- 9月上旬
- 11月下旬〜12月
日本の学期とずれるので、一時帰国の時期にも影響します。祝日と合わせた一覧は2027年 祝日・学校休暇カレンダーにまとめています。
なお、小学校の就学義務(Compulsory Education)は、シンガポールに住む国民だけが対象です。外国人は義務がないかわりに、空きがあるときだけ受け入れる「選考」になります。
日本人の子どもが入る方法(外国人向けP1登録・AEIS〔外国人向けの編入試験〕・学費)はローカル校に日本人は入れる?で詳しく解説しています。
小学校(P1〜P6):英語で学び、母語は必修
授業はすべて英語で、中国語・マレー語・タミル語のいずれかの「母語(Mother Tongue)」が必修です。外国人の子どもは入学後に校長を通じて母語の免除を申請でき、個別に判断されます。
- 📚 主な教科:英語・母語・算数・理科(ほかに音楽・美術・体育・道徳など)
- 🔀 P5・P6は教科ごとに「標準(Standard)」「基礎(Foundation)」を選ぶ(P4の成績をもとに学校が推奨)
- 📅 中間試験(mid-year exam)は全学年で廃止済み
以前は「GEP(ギフテッド教育プログラム)」という制度がありました。P3で選ばれた約1%の子が、P4から9つの小学校に集まって学んでいました。
このGEPは2024年のP1の学年から今の形では廃止されます。代わりに、選ばれた子は在籍校に残ったまま学びます。
学ぶ場は、各校の拡充プログラムか、近くの指定校で開かれる放課後の「アドバンスト・モジュール」(学期中は週2時間)です。
こうした支援を受けられる子は学年の約10%(これまでは約7%)に広がります。
2026年のP3が新しい選考(P3での1段階の選考)の最初の学年です。モジュールは15の小学校で開かれます。
PSLE:4科目のALの合計で中学が決まる

PSLEは英語・母語・算数・理科の4科目で、各科目をAL1〜AL8の8段階で評価します。その合計(4〜32点)が「PSLEスコア」です。
数字が小さいほど良い成績で、最高は4点です。
| AL | 得点(%) | AL | 得点(%) |
|---|---|---|---|
| AL1 | 90以上 | AL5 | 65〜74 |
| AL2 | 85〜89 | AL6 | 45〜64 |
| AL3 | 80〜84 | AL7 | 20〜44 |
| AL4 | 75〜79 | AL8 | 20未満 |
この評価方法は2021年に始まったもので、他の子との比較ではなく、本人の到達度で段階が決まります。基礎(Foundation)の科目はA〜Cで評価され、合計点ではAL6〜AL8として計算されます。
2026年のPSLEの結果は、11月24日(火)〜25日(水)ごろに発表予定です(暫定)。ローカルの小学校に通う外国人の子どもが、そのままローカルの中学校に進むにはPSLEを修了する必要があります。
日本人家庭が特に知っておきたいのが、母語を免除された場合の点数です。
免除された子は3科目だけ受験しますが、中学の振り分けには4科目分の点数が必要です。そのため、英語・算数・理科が同じくらいの子の母語の点数を参考に、AL6〜AL8の母語の点数が割り当てられます。
つまり免除を受けると、合計点では不利になりやすいということです。母語を続けるか免除を受けるかは、学校とよく相談して決めましょう。
中学への振り分け(S1 Posting):6校を志望順に出す
PSLEの結果が出たら、6校の志望校を順番に書いて出し、点数の良い子から順に空きのある学校へ振り分けられます。2025年は、11月25日に結果発表、同日〜12月1日に志望校を提出、12月19日に振り分け結果が出ました。
点数によって「Posting Group(PG)」が決まり、入学時に学ぶ教科のレベルの目安になります。
| PSLEスコア | Posting Group | 中1で多くの教科を学ぶレベル |
|---|---|---|
| 4〜20 | 3 | G3(いちばん発展的) |
| 21・22 | 2か3 | G2かG3 |
| 23・24 | 2 | G2 |
| 25 | 1か2 | G1かG2 |
| 26〜30(英語・算数がAL7以上) | 1 | G1 |
同じ点数の子が最後の枠を争うときは、①国籍(国民→PR→外国人の順)②志望順位③コンピューター抽選の順で決まります。
外国人は同点なら最後に回るため、人気校の「カットオフ(前年の最後に入った子の点数)」ぎりぎりでは不利になります。カットオフは年によって少し変わることがあり、満たしていても入れるとは限りません。
中国語を重視するSAP校(Special Assistance Plan)では、PSLEで上級中国語(Higher Chinese)に合格し、スコアが14以下の子が優先されます。
中学校:コース分けがなくなり、2027年から新試験SECへ

2024年に中1になった学年から、「エクスプレス」「ノーマル」というコース分けが廃止されました(Full SBB)。クラスは混成で、教科ごとにG1〜G3のレベルを選び、得意な教科は途中からレベルを上げることもできます。
- 📄 卒業時の試験:O/Nレベルに代わり、SEC(Singapore-Cambridge Secondary Education Certificate)。最初の受験は2027年、結果は2028年1月
- 🎓 6年一貫校(IP):中4の試験を受けず、A-レベル・IBディプロマ・NUS High Diplomaへ。他のIP校への転校は原則不可
- 🎨 専門校:NUS High(数学・理科)、SOTA(芸術)、School of Science and Technology、Singapore Sports Schoolなど。入学はDSA(得意分野で中学に入る直接入学制度)や学校独自の選考
- 🏀 部活動(CCA):中学では「LEAPS 2.0」で参加・奉仕・リーダーシップ・実績を評価し、高校段階の出願で加点に使われる
外国人ならではの注意点もあります。中学で第3言語として日本語・フランス語などを学べる制度があります。
ただしMOEの基準では対象は国民・PR(またはその子)で、PSLEスコア8以下も必要です。
日本語はさらに、PSLEで中国語(または上級中国語)を受験していることが条件です。
日本語の勉強は家庭や補習校で続ける前提で考えておきましょう(子どもの日本語を維持する方法)。
中学のあと:JC・ポリテクと、2028年からの新しい出願
中学の試験の結果で、次のいずれかに進みます。
- JC(2年でA-レベル)
- MI(3年でA-レベル)
- ポリテクニック(3年のディプロマ)
- ITE(技術系)
現在はO-レベルの結果が出る1月に「JAE」という一括出願があります。JCの出願基準は「L1R5(英語+5教科)の合計20以下」です。
SECの最初の学年が進学する2028年からは、新しい一括出願「PSE」に変わり、最大12の志望を出せるようになります。JCの基準も「L1R4(英語+4教科)の合計16以下」に変わります。
成績以外の力で先に内定をもらえるDSA-JCや、ポリテク・ITEの早期出願(EAE)はそのまま続きます。
DSA:成績以外の「得意」で中学・JCに入る
DSA(Direct School Admission)は、スポーツ・芸術・リーダーシップ・理数などの力で、PSLEの前に中学の内定をもらえる制度です。
各校はIP以外の中1定員の最大20%をDSAで採れます。2023年は学年の約11%(約4,400人)がDSAで入学しました。
次の内容はDSA徹底解説で詳しくまとめています。
- 外国人の応募条件
- 日本人学校・インター校からの応募方法
- 2026年の日程
日本人家庭がローカル校を考えるときのポイント
- 💰 学費:外国人(ASEAN以外)は2026年に月S$1,035(小学校)、S$2,190(中学校)。2027年以降の額は未発表
- 📄 在留資格:Dependant’s Pass(DP)などを持っていればStudent’s Passは不要
- 🗣️ 母語:免除を受けるとPSLEでAL6〜8が割り当てられる
- ⚖️ 中学の振り分け:同点なら国民・PRが先
- ✈️ 帰任の時期:IPやDSAは「最後まで在籍する」約束が前提
国民・PR向けのP1登録は、2027年の登録(2028年入学)から見直されます。兄弟の在籍や卒業生などのつながりがなくても申し込めるPhase 2Cの枠が、小規模校を除いて40人から60人に増えます。
外国人のP1登録は、国民・PRのあとに別の手続きで行います。次の記事もあわせて読んでみてください。
- 入学の方法はローカル校に日本人は入れる?
- 日本人学校・インター校との比較は日本人学校とインター校の選び方・費用比較
帰国後の受験を考えるなら帰国子女枠の受験ガイドも参考になります。
最終確認日: 2026-10-02(制度や日程は毎年見直されるため、申し込みの前にMOEの公式ページを確認してください)
参考: MOE(義務教育) / MOE(2027年の学期) / MOE(国際学生) / MOE(小学校のSBB) / MOE(GEPの見直し) / MOE(2026年3月の発表) / MOE(PSLEの採点) / MOE(母語免除の点数) / MOE(国の試験の日程) / MOE(S1 Posting) / MOE(Posting Group) / MOE(タイブレーク) / MOE(IP) / MOE(Full SBB・SEC) / MOE(LEAPS 2.0) / MOE(JAE) / MOE(DSAの人数) / MOE(外国人の学費) / MOE(P1登録) / MOE(P1登録の見直し) / MOE(第3言語)


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